特定処遇改善加算

新加算の取得要件は、①現行の「介護職員待遇改善加算」Ⅰ~Ⅲを取得していること、②「介護職員待遇改善加算」の職場環境等要件に関して「複数」の取り組みを行っていること、③「介護職員待遇改善加算」に基づく取り組みについてホームページ掲載などを通じて見える化していること。
単純な「介護職員待遇改善加算」への上乗せではなく、「より職員定着に向けた努力を行っている」事業所・施設に対して、新加算という経済的インセンティブを与えるという考え方となっている。

現場のコメント
○「経験年数のある介護福祉士の引き抜き合戦になる」
 新処遇改善加算を多く得て様々な職種の職員に分配しようとして、事業者間で経験年数のある介護福祉士の引き抜き合戦が熾烈になるかもしれない。しかし、「うちの施設に来て下さい。でも、加算算定しても全額はあなたの給与に行きません。他の職種の職員の処遇改善に協力して下さい」と言っても、誰も来てくれない。何かおかしい制度だ。

○経験・技能のある介護職員のコメント:
「経験・技能のある職員に加算分を全て支給するという事業者になびくのは当然だ」
厚労省の考え方では、加算された分を加算対象職員以外にも分配するということは、加算対象となるベテラン介護福祉士に支給される額は、分配される分削られていくことになる。そうなら、「うちの施設では、加算分は他の職員に振り分けないで、あなたにすべて支給します」という介護事業者に、「経験・技能のある介護職員」はなびいていくのは当然だ。

○他の介護職員のコメント:
「新処遇改善加算でルール化され、人間関係の悪化が懸念」
介護現場において離職理由のトップは人間関係だ。同じ事業所等の中に「月額8万円の処遇改善」「改善後賃金が年収440万円以上」が1人いればよいなどといったルールが設定され、これにより、待遇面での差が明らかになり、人間関係の悪化が懸念される。

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「案ずるより産むが易し」とはいうが、これらのコメントを見る限り、介護現場が収入面で険悪な雰囲気になってしまうのではないか?と、非常に心配になってくる。あちらを立てればこちらが立たぬ、とはこのことだ。規制多い割に肝心な部分は民間の自由裁量に任せるのは、それこそ酷な話だ、と思わなくもない。

 最後にこんなコメントを紹介したい。

○利用者のコメント:

 「介護保険料を負担する現役世代には、介護福祉士よりも給与が低い人もいる」

 今回の処遇改善は、「経験・技能のある介護職員(概ね勤続10年以上の介護福祉士)の給与水準を全産業平均並みに引き上げる」ことを主目的にしているが、介護保険料を負担する現役世代の中には、現実に介護福祉士よりも給与の低い労働者が結構いる。こうした方の負担を重くし、それよりも給与水準の高い介護職の給与をさらに引き上げることに違和感を抱く。